「SPY×FAMILY」の第40話のあらすじと感想(ネタバレあり)

「SPY×FAMILY」の第40話のあらすじと感想(ネタバレあり)

 市場と倉庫が爆撃され燃え上がる光景を目の当たりにし、
少年は周囲の人々がみな命を落としてしまったと思い込みます。
 母に手を引かれて避難を続けますが、逃げ込んだ先で今度はその母までもが被爆してしまいます。
 信じていた大人たちの「戦争は起きない」という言葉がことごとく裏切られたことで、
少年は誰のことも信用できなくなっていきます。

 やがて年齢を偽って軍に加わった少年は、敵国の兵士たちを次々と手にかけていきます。
 そんな戦場で出会った、どこか飄々とした一人の男(フランキー)との交流をきっかけに、
初めて敵兵を一人の人間として見つめ直すきっかけを得ますが、そのすぐ後の銃撃戦で負傷し、
後方へ下げられることになります。
 さらに、年齢を偽っていた事実が発覚したことをきっかけに、諜報機関からスカウトを受けることになります。

 戦争によって家族も日常もすべてを奪われた少年が、いかにして名も偽り戦場に身を投じるに至ったのか、
 そしてそこからどうスパイの道へとたどり着いたのか——コードネーム〈黄昏〉誕生の核心に迫る、
ロイド過去編の集大成となる回です。



 ロイド過去編の集大成として、これ以上ないくらい重い着地点だったと思います。
 39話の「小さな嘘への罪悪感」から始まった物語が、ここまで一気に転がり落ちていく様を見せられると、
正直しばらく言葉が出ませんでした。

 一番刺さったのは、「大人は嘘つきだ」という絶望が少年の中に根付いていく過程です。
「戦争なんて起きない」と誰もが口を揃えて言っていたのに、次の瞬間には市場も倉庫も焼け落ち、
頼りにしていた母親までも失ってしまう。
 子供は大人の言葉を信じるしかない存在なのに、その信頼の土台ごと粉々にされてしまう。
 これでは誰も信じられなくなって当然だと、胸が締め付けられました。
 安心させるための嘘だったのかもしれませんが、
結果として少年から「信じる」という力そのものを奪ってしまった、という皮肉が重すぎます。

 年齢を偽って軍に入り、敵兵を殺していくロイドの姿には、複雑な感情を抱きました。
 彼を突き動かしていたのは正義感や使命感というより、行き場を失った怒りや虚無感だったんだろうなと。
 だからこそ、フランキーとの出会いで「敵が初めて人間に見えた」という変化が、余計に胸に刺さります。
 憎しみだけで動いていた少年が、
ふとした交流で相手にも生活があり感情があることに気づいてしまう——この瞬間こそが、後の〈黄昏〉という人格の萌芽なんだろうと感じました。

 負傷をきっかけに諜報部にスカウトされるという流れも、皮肉な因果を感じます。
 銃を撃つことしかできなかった少年が、戦場の最前線から一歩引いた場所で、
また別の形で戦い続けることになる。
 そこに「もう誰も自分のような子供を作りたくない」という、
1話の台詞につながる原点がようやく完全に接続された感覚がありました。

 コメディと日常に彩られた本編を知っているだけに、
ここまで容赦なく戦争の理不尽さと少年の喪失を描き切ってくることに、
あらためてこの作品の芯の強さを感じます。
 フォージャー家というまがい物の家族の温かさが、
実はこれほどまでに深い喪失の上に成り立っているのだと知ってしまうと、
これまでの日常回すべてが違って見えてくる、そんな重みのある40話でした。

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